アンダー・コロナでの不動産投資

新型コロナウィルスによる活動自粛期間は一旦の区切りを迎えそうです。ただ、不動産市場、とくに投資に関しては、これまでとはまったく違う市場、マインドになると考えられます。

 ●活動自粛期間中の影響 
もっとも影響が顕著だったのは、賃貸市場です。国内はもちろん、海外からの観光客激減により、倒産したホテルも出ました。Airbnbなどの民泊需要は激減し、「民泊=高稼働・高収入」というイメージは一瞬にして崩れたのです。また、単身者用であるワンルームの需要も落ち込みました。一番の書き入れ時である3月、不動産業者は閑古鳥が鳴く春を過ごしたのです。

 ●これからを予想する 
活動自粛が解除となったあとは、様子を伺いながら次の段階へ移っていくことでしょう。新型コロナウィルスが及ぼす社会や経済への影響はまだまだ続くと思われます。

まず、自粛期間を経たことで『日常生活の多くをインターネット経由で対応できる』ことを実感しました。かなりの職種でリモートワークが可能であり、学校の授業や各種のレッスンもネット経由で受けることができます。筆者も自宅で仕事や会議をしながら、子の授業を聞いていました。オフィスや学校は定期利用や時間差を駆使すればもっと縮小できます。経費も削減できるうえ、学生は通学先による設備や授業内容の格差も解消できます。

このようにインターネットを活用するようになると、「実体」の存在意義が小さくなります。会社や店もインターネットで運営できるものが多くあります。したがって、貸店舗や貸事務所などのテナント物件オーナーは、冬の時代を迎えるのではないでしょうか。

またワンルーム以外の賃貸物件も無事ではいられないでしょう。今後は大きな事務所や余剰人員は不要になります。リストラや解雇が難しいのは、規制があるためです。企業の存続自体を危うくするとなれば、いずれ労働市場も規制で安定させようとしても破綻するでしょう。

今度はいっそう人員整理の難しい正社員雇用は減るばかりです。雇用が不安定になることから、高額の家賃を払うこと、ローンを組んで不動産を買う人も少なくならざるを得ません。日本には空家はたっぷりありますので、相続物件に住んだり、地方の空家を安く借りて暮らせばいい、という考えかたもできます。

このように価値観や生活環境が変わると、さまざまな想定が覆ってしまいます。都心の利便性、タワマンの魅力、フルローンを活用しながら運営規模拡大する戦略…いずれもパラダイム転換が迫られそうな気がしてなりません。

 


 ●運営中の三大リスクに備えよう 

不動産投資経営における三大恐怖(?)に滞納・空室・家賃引下げがあります。

・家賃滞納が新型コロナウイルスに起因する場合、公的な支援策について、家主から積極的に案内できるだけの準備をしておきましょう。

・空室と家賃引下げ交渉の対策には、やはり物件の競争力を高めるしかありません。まずはネット環境の備え付けやサービス内容の強化はもはや当たり前となるでしょう。

あとは、可能な限りキャッシュフローを高めましょう。融資を受けて物件を購入している場合は特に返済比率を下がることがリスク低減につながります。可能であれば、ローンを繰り上げ返済し、同時に金利を下げてもらったり、他行で安い金利のローンに借り換えることも検討してください。

間違っても不動産市場が低迷するから、物件が安いうちにフルローン利用で不動産経営を拡大していこう、などとは考えないことです。そもそも不動産投資を拡大していいのは、現金を潤沢にもっていて(ローンを使う場合でも頭金を何割か入れられる)、かつ物件の選別眼があるごく一部の人ではないでしょうか。


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